インプラントについて

インプラント治療とは、どういうものなのでしょうか?

インプラントは、失われた歯根の部分(顎の骨)に人工(チタン製)の歯根を埋め込んで、それを土台に人工の歯を装着する治療法です。

図
インプラント体: 生体材料(生体親和性の良いチタンなど)に表面加工などを施した人工の歯根部。
この部分を顎骨内に埋め込んで骨と生着させます。
アバットメント: 人工の歯冠部(上部構造)を装着する支台装置。
インプラント体にスクリューなどで固定されます。

この方法によって次のような問題が解決します。

  • 残っている健康な歯に負担をかけることなく、自分の歯と変わらない感じでしっかり噛むことができます。
  • 顎の骨にも力が伝わるため、骨の変形も少なくなります。
  • 見た目も自分の歯と見分けがつかないくらい自然に仕上がります。
  • 義歯の場合でも、しっかりと固定されるため、すべりやずれがありません。
  • 外したりすることなく、自分の歯と同じように歯磨きできるので、お手入れが簡単です。
  • 歯を失ったことによる、さまざまな制限や不快感から開放されるので、自信や積極性が回復されます。

しかし、全ての人にインプラントができるわけではありません。
全身的、局所的な条件によって、制限されたり、適用できないケースもあります。

  • 妊娠中
  • 手術に耐えられないような全身疾患がある場合
  • コントロールされていない慢性疾患がある場合
  • 骨粗鬆症
  • 顎の骨の少ない場合(骨移植を併用する場合があります。)
  • 歯周病や口腔内に感染症のある場合(その治療を行ってからインプラントを行います)
  • 成長過程の場合
  • ブラッシングなど、日常の手入れが十分にできない場合
  • アルコール依存症
  • 医師との協力関係が得られない場合
  • チタンアレルギー

インプラントは、他の治療と同様に、入れてしまえば終わりなのではなく、その後のお手入れとメインテナンスが大変重要です。自分の歯と同じように、お手入れの仕方で、寿命が決まります。定期的なチェックとメインテナンスが必ず必要です。

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インプラント治療の歴史

インプラント治療が開始され、約40年の歳月が経過し、世界各国で、臨床応用され、それと同時にさまざまな研究がされてきました。そうしたなかで、インプラント治療に対する考え方は、大きく変化してきています。
1970年代、米国ではインプラントは、可撤性義歯(いわゆる入れ歯)が嫌な患者さんや天然歯(自分の歯)との連結した補綴物の補助的維持の手段として、ブレードタイプのインプラントや骨膜下インプラントが行われていました。当時は、インプラントと骨組織は結合しておらず、一層の軟組織が介在した状態で、わずかな動揺は許容されており、5年もてば、成功といわれていました。
一方、スウェーデンでは、1965年頃より、純チタン製の骨結合型スクリュータイプのインプラント(Branemark)が使用されており、米国よりも、厳しい基準で、高い成功率を収めていました。
しかし、いずれも、非日常的治療であり、機能性と清掃性が優先され、審美性は考慮されておりませんでした。
1980年代に入ると、インプラント表面への直接的骨接触がインプラント成功の有効な要因と考えられるようになり、チタン製、シリンダー型のインプラントが主流となりました。この流れは現在まで、引き継がれていますが、当時はまだ、インプラント埋入部位に十分な骨があることが、絶対条件でした。
1990年代には、バリア膜を用いた骨造成(GBR)やサイナスリフト(上顎洞を挙上するための骨移植)有効な手段となり、十分な骨のない場所におけるインプラント治療が、急速に進歩しました。その後、審美性を考慮にいれたインプラントのニーズが高まり、適切な軟組織の管理やインプラント自体の開発(サイズ、形態、アバットメントシステム)がされるようになりました。このようにして、審美的インプラント治療の適用が広がり、天然歯に匹敵する審美性が追及されるようになりました。
このような流れのなかで、現在では、患者さんの満足度(QOLの向上)と根拠に基づいたインプラント治療(EBM)がテーマとなっており、治療時間を短縮する(QOLを考慮して)早期負荷システムや即時負荷のトライアルも行われています。まだ、長期の臨床成績の報告はありませんが、短期では良好な臨床成績が報告されています。
インプラント治療はこの40年の間に、非日常的で特殊な治療から、日常的なさまざまな治療のひとつとなり、われわれは、それぞれの患者さんの満足度を常に頭におき、それぞれの患者さんが、健康で、安心して過ごすことのできる口腔環境を作るための治療を選択していくことが、求められています。
さまざま患者さんのニーズに答え、それぞれに満足のいく質の高い治療を行うためには、各専門分野(予防、歯周、歯内、補綴、口腔外科、矯正など)を総合した、多くの治療手段を持っていることが、必要であり、インプラントもその治療手段の一つであるのです。

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インプラントと他の治療法との違い

従来、歯を補う方法にはブリッジや入れ歯が用いられてきました。
最近では、自分のあまっている歯を移植するという方法(自家歯牙移植)があります。
この方法は、不要な親知らずや矯正治療時に抜歯する歯を利用して、歯を失った場所に移植する方法です。歯の大きさや場所によって制限がありますが、この方法もインプラントと同様に、他の歯に負担をかけずに単独で治療ができますので、利用できる歯がある場合には大変有用な手段です。
インプラントとブリッジや入れ歯との違いを、表にまとめます。



インプラント ブリッジ 入れ歯
欠損した歯の周囲の健康を削ることなく治療できる。 欠損した歯の周囲の健康な歯を削らなければならない。
周囲の歯や粘膜に負担をかけない。 欠損周囲の歯が健康でなければ、できない。
支える歯に負担がかかる。
入れ歯を支える歯や粘膜に負担がかかる。
失った歯の数だけ植立することができ、多数歯失っていても、咀嚼能力を回復することができる。 多数歯の喪失の場合できないことがある。 咀嚼機能は天然歯の1/3
歯を失った部分の骨の吸収を抑制できる。長期間、安定した状態を保てる。
入れ歯を支える骨が吸収しやすいので、つくりかえや調整が必要である。
天然歯と同様の審美性と機能が期待できる。 清掃性が悪くなるため、歯周病虫歯になりやすい。 入れ歯を支える歯は清掃性が悪く、負担もかかるため、喪失しやすい。
審美性を損ねる。
違和感がない。
装着時の違和感がある。
手術を必要とし、治療期間が長い

保険の適用とならないため、費用がかかる。 審美的な治療では保険外となり費用がかかる。 審美的、機能的に保険外の物もある。
定期的なメインテナンスが必要 定期的なメインテナンスが必要 定期的なメインテナンスが必要

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